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三江線・全駅訪問の旅(その5)・・・最後に秘境駅ナンバーワンの長谷駅へ
主に青春18きっぷを利用した「駅弁」と少し「呑み鉄」、そして時々「撮り鉄」の旅を名古屋からお届けします。
今年度末での廃止が決まった三江線、昨年(2016年)9月に乗車した折、今更ながらその車窓風景の素晴らしさに感動しました。そして、ほぼ乗降客のいない途中の小さな駅の佇まいも良い雰囲気で、是非とも全駅に降り立ちたいと思った次第です。
しかし、仕事も家庭もある私、列車で全駅を訪問することは日数的に不可能で、止むを得ずレンタカーで訪れることにしました。なお、この翌日には三江線列車に乗車、更に翌々日は伯備線で途中撮影しながら帰宅しましたが、それはまた別記事でご紹介します。
(都度、この地図を拡大したり縮小したりして、本文中の三江線の駅の位置を確認して頂くと、より理解が深まると思います。)
今回は、既に訪問したことのある浜原、粕淵、石見川本、そして明日訪問予定の江津本町と、両端の三次、江津を除いた29駅に行きます。
以下、リンクをクリックすると、その駅などを紹介した部分にジャンプできるようにしておきます。興味のある駅を確認して頂ければと思います。本ページでは下記の29番から34番までを掲載しています。
1:徒歩で移動、粟屋~尾関山間の鉄橋で421D列車を撮影【7:30】
2:尾関山駅訪問【7:40】
3:備北バス三次小学校7:53発のバスで三次駅に戻り、レンタカー三次店出発【8:52】
4:粟屋駅で923D列車撮影【9:00~9:13】
5:香淀駅【9:40】
6:作木口駅【9:50】
7:江平駅【9:58】
8:「江の川カヌー公園さくぎ」で424D列車撮影【10:10~10:47】
9:伊賀和志駅で再び424D列車撮影【11:00~11:05】
10:宇都井駅【11:15~11:25】
11:石見都賀駅【11:50】
12:石見松原駅【12:00】
13:潮駅【12:11】
14:沢谷駅【12:29】
15:明塚駅【12:45】
16:石見簗瀬駅【12:58】
17:乙原駅【13:11】
18:竹駅【13:18】
19:木路原駅【13:25】
20:因原駅の江津側鉄橋で426D列車を撮影【13:40~13:53】
21:因原駅【14:00】
22:鹿賀駅【14:16】
23:石見川越駅【14:26】
24:田津駅【14:36】
25:川平駅【14:53】
26:千金駅【15:05】
27:川戸駅とその付近で列車を撮影【15:25~15:50】
28:国道261号線と主要地方道浜田作木線を経由して口羽駅へ【口羽駅17:00】
29:香淀駅付近の鉄橋で列車を撮影【17:30~17:45】
30:式敷駅【17:50~18:00】
31:信木駅【18:05】
32:所木駅【18:12】
33:船佐駅【18:19】
34:長谷駅【18:30】~三次市街到着【18:50】
口羽からは再会した江の川を渡り、これまた懐かしい(?)国道375号線を香淀駅方面に向けて走ります。江平駅、作木口駅と三江線の対岸を行くのですが、この付近の線路、午後は山の影となってしまいます。
この付近、三江線側は島根県邑智郡邑南町(旧羽須美村)、国道側は広島県三次市(旧作木村)です。旧作木村の玄関口である作木口駅が隣の県にあるとは、意外でした。高校は三次方面が便利そうで、県境を越えての通学も認められているのでしょうか。さて、次の上り浜原行の通過時刻が迫って来ました。付近をウロウロと物色した結果、香淀駅近くの鉄橋で撮影することにします。
作木口駅~香淀駅間の香淀駅近くにある江の川を渡る鉄橋です。鉄橋から続く線路は右にカーブし、画面手前を横切り左側の香淀駅に至ります。この場所も捨てがたいですが、後追いになります。427D三次行(香淀発15:38)なら完全順光で撮影できます。 (2017.5.13 17:20)
香淀駅~式敷駅間の式敷寄りの段丘にある門田集落、この風景の中に線路がある筈ですが、見つけることが出来ず…ここは断念します。なおこの付近は両岸とも広島県ながら、対岸が三次市(旧作木村)、こちら側が安芸高田市(旧高宮町)です。(2017.5.13 17:27)
結局、香淀駅から約200m西の道路橋である香淀大橋から、先ほどの鉄橋を行く432D列車浜原行を撮影しました。左が作木口駅、右が香淀駅側ですので、後追いとなるものの、米粒写真なので気になりません。(?)ここでやっと、晴天順光の写真を撮ることが出来ました。ちなみにレンズ焦点距離は100㎜(35㎜換算150㎜)です。 (2017.5.13 17:41)
話は前後しますが、件の香淀大橋の手前に踏切があり、そこから香淀駅に到着する432D列車を撮影。残念ながら完全逆光です。(2017.5.13 17:39)
香淀駅に到着した432D列車を後部から撮影。列車本数の少ない三江線なので、同じ列車ではありますが、カットを稼ぐことが出来るのは嬉しいです。(2017.5.13 17:39)
香淀付近の鉄橋での撮影後は式敷駅に向かいます。例によって国道375号線を走行、トンネルでショートカットするので、あっという間に到着です。
式敷駅は広島県安芸高田市(旧高宮町)に位置し、江の川の南側を通る三江線の船佐駅までが同市内となります。対して国道375号線の通る江の川北岸は、広島県三次市(旧作木村)であり、三江線廃止後の代替交通機関がどうなるのか、気になります。
式敷駅を西側から撮影。左の橋は江の川に架かる道路橋です。
式敷駅は交換駅で、午後8時台に1回だけ列車交換が行われます。
小さいながらもお洒落な駅舎があります。
25駅目、あと4駅です。
式敷駅周辺には耕地が広がり、駅前には人家が立ち並んでします。しかしその中の食料品店(ヤマザキショップ)や自動車修理工場は既に廃業の様子、空き家も散見され、寂しげな光景です。
ここから三次市街まで江の川を渡る道路橋がないため、駅訪問には国道ではなく三江線に並走する県道112号線を走行せざるを得ません。結果としてこの県道、多くの区間が対向不可の狭い道で、本日最後の試練となりました。
次の信木駅までは三江線の営業キロで1.8㎞、式敷駅からはカーブの多い狭い道でしたが、運良く対向車もなく無事到着。信木駅は県道から見下ろすところにありました。周囲は数軒の人家とともに棚田及び棚田跡(?)で、斜面ながらも意外に開けています。
県道の下、江の川沿いにある信木駅です。対岸の国道へ通じる橋はありません。
上の県道から急な坂道を下ります。
駅舎はなく、ホームに待合室という三江線標準装備型の駅です。
26駅目、あと3駅です。
所木駅までは営業キロ1.9㎞、この辺りの三江線は比較的駅間が短いです。それを裏付けるように時々棚田と人家が現れます。信木駅も棚田のある集落にあり、県道からは数軒の人家の間の道を下りていきます。
特筆すべきは、この道はそのまま江の川を渡る橋に続いています。この橋は2トンまでとの重量制限の標識があり、重くて1トンの軽自動車はもとより、重量的には普通乗用車までなら通行できそうです。しかし幅が狭く、軽自動車なら行けそうですが、普通乗用車はなかなか難しそうです。
式敷駅付近~三次市街までの間で、江の川に架かる唯一の橋です。
川と斜面の間の狭い場所にある所木駅です。
27駅目、あと2駅です。
所木駅から船佐駅までの営業キロは僅か1.4㎞、しかし県道112号線は大半が対向不可の狭い道で緊張します。幸い狭い部分で対向車に出会うことはなく、対向車の気配を感じたら無理して進行せず、広い場所で待つ配慮も必要です。ちなみにこの間に踏切があり、県道は三江線の山側から川側へと移ります。
さて船佐駅は木々に囲まれつつも、駅周辺だけは平地となっており、人家や田んぼ、駅には大きめの待合室や屋根付き駐輪場(ただし自転車はなし)があります。
地図を見てみると船佐駅に先に南へ向けて県道が分岐しており、その先には集落があり、更に旧高宮町の役場(現在は安芸高田市役所の支所)に至り、その近くに船佐小学校、高宮中学校があります。
その昔は、そういった集落の玄関口の駅だったのでしょう。広めの駅構内や交換設備の跡に、その面影を感じます。なお現在でもここ船佐駅から、高宮支所を経由して旧吉田町まで、通学時間帯を中心にコミュニティバスが運行(土曜日減便、休日運休)されています。既に代替交通は確保されているとも思われ、複雑な心境です。
立派な待合室があります。
島式ホームの交換駅だった面影が残る船佐駅です。奥が長谷駅側です。
所木駅側に目を向けると、田植えの終わった水田がありました。夕方の斜光に照らされ、印象的な光景でした。
28駅目、いよいよ次で最後です。
船佐駅から営業キロ2.2㎞、次の長谷駅は秘境駅として知られ、ランキングは第38位です。三江線の秘境駅はこの長谷駅が最高位です。これは三江線に人煙稀といった駅はなく、少ないながらも周辺に人家があり、小さいながらも耕地があることを物語っています。
三江線の三次~式敷間は1955年(昭和30年)の開業ですが、長谷駅は1969年(昭和44年)に仮乗降場として開設されました。ここからは三次市となります。
過疎化により近くの集落の児童が通っていた学校が廃校となり、通学の足を確保するためこの駅が設置されたことは、よく知られているところです。そのため停車する列車が、午前中の三次行、午後の三次発に偏っています。
長谷駅への県道です。対向車を発見したら、広い場所で待ちましょう。
山の斜面にある長谷駅です。道路に車が停まっており、駅見物(?)のご夫婦が先客でいらっしゃいました。本日の駅巡り中、駅で人と出会ったのは宇都井駅、図書館併設の川戸駅とここだけ。列車を待つ方の姿を見ることは皆無でした。
味わい深い待合室があります。
清掃が行き届いている待合室内です。
列車で訪問するのは困難を極める長谷駅。隣の粟屋駅、 船佐駅から歩くという手もあります。
ホームから江の川の絶景を楽しむことが出来る長谷駅です。駅の先に数軒の人家と耕地がありますが、現在、この駅を通学で利用する児童はいないそうです。
これでほぼ全駅(残る江津本町駅は明日訪問します)の訪問達成!
駅巡礼の長い一日でしたが、何とか明るい内に目標を達成できて満足です。長谷駅からも慎重にハンドルを握り、朝訪問した粟屋駅を通過して、無事、三次グランドホテルに到着しました。
「電車は人間を乗せるものだ。鉄道は、人間と人間を繋ぐものだ。だから鉄道を愛する者は、けっして人間を憎めない。」・・・宮部みゆき著「小暮写眞館」の登場人物の言葉です。後段はともかく、こうした文脈からはまさに駅も人と人を繋ぐものと言えましょう。
繰り返しになりますが、各駅とも周囲には少ないながらも人家があり、人の姿がありました。三江線の現状からは既にその役割を失っているとの見方もできますが、駅が無くなることで「人と人を繋ぐもの」も無くなってしまわないか心配です。
全通時から定期列車の優等列車が設定されたことがないことからも、陰陽連絡としての機能は当初から無かったことでしょう。小中学生の通学利用も、既にスクールバスやコミュニティバスが整備されています。残るは高校生と、車を運転しない方の利用です。
・江津~川戸間は石見交通バスが何故か昼間に2往復運行されています。まるで三江線ダイヤの穴を埋めているようです。国道経由ですが、朝晩増便し何とか石見川本まで頑張って延長していただきたいです。
・石見川本~口羽間は美郷町営バスの両端を延長、町域外となりますので、費用負担等の問題が出てきそうですが、円満解決していただきたいものです。
・口羽~三次間は三江線とは違う経路で、路線バスが運行されています。三江線の経路で採算ベースに乗せることは難しそうで、コミュニティバスでしょうか。式敷~粟屋間は2012年の社会実験によるバス増便では、三江線沿いの県道をバスが運行されたそうで、マイクロバスなら通行できるのでしょう。行政区域が細かく分かれており、調整が難しそうですが。
代替交通機関の行方が非常に気になるところです。 さて明日は、三次から江津まで三江線に乗りますが、また別記事で。 (下記より続きをご覧ください。残る江津本町駅への旅でもあります)
⇒次・三江線・三次~江津まで完全乗車
三江線の、三次駅から江津駅まで駅を順番に並べてみます。数字は小見出しの番号になります。
③ 三次駅
② 尾関山駅
① (駅間で列車を撮影)
④ 粟屋駅
? 長谷駅
? 船佐駅
? 所木駅
? 信木駅
? 式敷駅
⑤ 香淀駅駅
? (駅間で列車を撮影)
⑧ (駅間で列車を撮影)
⑥ 作木口駅
⑦ 江平駅
? 口羽駅
⑨ 伊賀和志駅
⑩ 宇都井駅
⑪ 石見都賀駅
⑫ 石見松原駅
⑬ 潮駅
⑭ 沢谷駅
・浜原駅(昨年訪問済)
・粕淵駅(昨年訪問済)
⑮ 明塚駅
⑯ 石見簗瀬駅
⑰ 乙原駅
⑱ 竹駅
⑲ 木路原駅
・石見川本駅(翌日訪問)
? 因原駅
⑳ (駅間で列車を撮影)
? 鹿賀駅
? 石見川越駅
? 田津駅
? 川戸駅
? 川平駅
? 千金駅
・江津本町駅(翌日訪問)
・江津駅(翌日訪問)
今年度末での廃止が決まった三江線、昨年(2016年)9月に乗車した折、今更ながらその車窓風景の素晴らしさに感動しました。そして、ほぼ乗降客のいない途中の小さな駅の佇まいも良い雰囲気で、是非とも全駅に降り立ちたいと思った次第です。
しかし、仕事も家庭もある私、列車で全駅を訪問することは日数的に不可能で、止むを得ずレンタカーで訪れることにしました。なお、この翌日には三江線列車に乗車、更に翌々日は伯備線で途中撮影しながら帰宅しましたが、それはまた別記事でご紹介します。
(都度、この地図を拡大したり縮小したりして、本文中の三江線の駅の位置を確認して頂くと、より理解が深まると思います。)
三江線全駅訪問・・・・各駅の様子は、以下の通りになります
今回は、既に訪問したことのある浜原、粕淵、石見川本、そして明日訪問予定の江津本町と、両端の三次、江津を除いた29駅に行きます。
以下、リンクをクリックすると、その駅などを紹介した部分にジャンプできるようにしておきます。興味のある駅を確認して頂ければと思います。本ページでは下記の29番から34番までを掲載しています。
1:徒歩で移動、粟屋~尾関山間の鉄橋で421D列車を撮影【7:30】
2:尾関山駅訪問【7:40】
3:備北バス三次小学校7:53発のバスで三次駅に戻り、レンタカー三次店出発【8:52】
4:粟屋駅で923D列車撮影【9:00~9:13】
5:香淀駅【9:40】
6:作木口駅【9:50】
7:江平駅【9:58】
8:「江の川カヌー公園さくぎ」で424D列車撮影【10:10~10:47】
9:伊賀和志駅で再び424D列車撮影【11:00~11:05】
10:宇都井駅【11:15~11:25】
11:石見都賀駅【11:50】
12:石見松原駅【12:00】
13:潮駅【12:11】
14:沢谷駅【12:29】
15:明塚駅【12:45】
16:石見簗瀬駅【12:58】
17:乙原駅【13:11】
18:竹駅【13:18】
19:木路原駅【13:25】
20:因原駅の江津側鉄橋で426D列車を撮影【13:40~13:53】
21:因原駅【14:00】
22:鹿賀駅【14:16】
23:石見川越駅【14:26】
24:田津駅【14:36】
25:川平駅【14:53】
26:千金駅【15:05】
27:川戸駅とその付近で列車を撮影【15:25~15:50】
28:国道261号線と主要地方道浜田作木線を経由して口羽駅へ【口羽駅17:00】
29:香淀駅付近の鉄橋で列車を撮影【17:30~17:45】
30:式敷駅【17:50~18:00】
31:信木駅【18:05】
32:所木駅【18:12】
33:船佐駅【18:19】
34:長谷駅【18:30】~三次市街到着【18:50】
29:香淀駅付近の鉄橋で列車を撮影
口羽からは再会した江の川を渡り、これまた懐かしい(?)国道375号線を香淀駅方面に向けて走ります。江平駅、作木口駅と三江線の対岸を行くのですが、この付近の線路、午後は山の影となってしまいます。
この付近、三江線側は島根県邑智郡邑南町(旧羽須美村)、国道側は広島県三次市(旧作木村)です。旧作木村の玄関口である作木口駅が隣の県にあるとは、意外でした。高校は三次方面が便利そうで、県境を越えての通学も認められているのでしょうか。さて、次の上り浜原行の通過時刻が迫って来ました。付近をウロウロと物色した結果、香淀駅近くの鉄橋で撮影することにします。
作木口駅~香淀駅間の香淀駅近くにある江の川を渡る鉄橋です。鉄橋から続く線路は右にカーブし、画面手前を横切り左側の香淀駅に至ります。この場所も捨てがたいですが、後追いになります。427D三次行(香淀発15:38)なら完全順光で撮影できます。 (2017.5.13 17:20)
香淀駅~式敷駅間の式敷寄りの段丘にある門田集落、この風景の中に線路がある筈ですが、見つけることが出来ず…ここは断念します。なおこの付近は両岸とも広島県ながら、対岸が三次市(旧作木村)、こちら側が安芸高田市(旧高宮町)です。(2017.5.13 17:27)
結局、香淀駅から約200m西の道路橋である香淀大橋から、先ほどの鉄橋を行く432D列車浜原行を撮影しました。左が作木口駅、右が香淀駅側ですので、後追いとなるものの、米粒写真なので気になりません。(?)ここでやっと、晴天順光の写真を撮ることが出来ました。ちなみにレンズ焦点距離は100㎜(35㎜換算150㎜)です。 (2017.5.13 17:41)
話は前後しますが、件の香淀大橋の手前に踏切があり、そこから香淀駅に到着する432D列車を撮影。残念ながら完全逆光です。(2017.5.13 17:39)
香淀駅に到着した432D列車を後部から撮影。列車本数の少ない三江線なので、同じ列車ではありますが、カットを稼ぐことが出来るのは嬉しいです。(2017.5.13 17:39)
30:式敷駅
香淀付近の鉄橋での撮影後は式敷駅に向かいます。例によって国道375号線を走行、トンネルでショートカットするので、あっという間に到着です。
式敷駅は広島県安芸高田市(旧高宮町)に位置し、江の川の南側を通る三江線の船佐駅までが同市内となります。対して国道375号線の通る江の川北岸は、広島県三次市(旧作木村)であり、三江線廃止後の代替交通機関がどうなるのか、気になります。
式敷駅を西側から撮影。左の橋は江の川に架かる道路橋です。
式敷駅は交換駅で、午後8時台に1回だけ列車交換が行われます。
小さいながらもお洒落な駅舎があります。
25駅目、あと4駅です。
式敷駅周辺には耕地が広がり、駅前には人家が立ち並んでします。しかしその中の食料品店(ヤマザキショップ)や自動車修理工場は既に廃業の様子、空き家も散見され、寂しげな光景です。
ここから三次市街まで江の川を渡る道路橋がないため、駅訪問には国道ではなく三江線に並走する県道112号線を走行せざるを得ません。結果としてこの県道、多くの区間が対向不可の狭い道で、本日最後の試練となりました。
31:信木駅
次の信木駅までは三江線の営業キロで1.8㎞、式敷駅からはカーブの多い狭い道でしたが、運良く対向車もなく無事到着。信木駅は県道から見下ろすところにありました。周囲は数軒の人家とともに棚田及び棚田跡(?)で、斜面ながらも意外に開けています。
県道の下、江の川沿いにある信木駅です。対岸の国道へ通じる橋はありません。
上の県道から急な坂道を下ります。
駅舎はなく、ホームに待合室という三江線標準装備型の駅です。
26駅目、あと3駅です。
32:所木駅
所木駅までは営業キロ1.9㎞、この辺りの三江線は比較的駅間が短いです。それを裏付けるように時々棚田と人家が現れます。信木駅も棚田のある集落にあり、県道からは数軒の人家の間の道を下りていきます。
特筆すべきは、この道はそのまま江の川を渡る橋に続いています。この橋は2トンまでとの重量制限の標識があり、重くて1トンの軽自動車はもとより、重量的には普通乗用車までなら通行できそうです。しかし幅が狭く、軽自動車なら行けそうですが、普通乗用車はなかなか難しそうです。
式敷駅付近~三次市街までの間で、江の川に架かる唯一の橋です。
川と斜面の間の狭い場所にある所木駅です。
27駅目、あと2駅です。
33:船佐駅
所木駅から船佐駅までの営業キロは僅か1.4㎞、しかし県道112号線は大半が対向不可の狭い道で緊張します。幸い狭い部分で対向車に出会うことはなく、対向車の気配を感じたら無理して進行せず、広い場所で待つ配慮も必要です。ちなみにこの間に踏切があり、県道は三江線の山側から川側へと移ります。
さて船佐駅は木々に囲まれつつも、駅周辺だけは平地となっており、人家や田んぼ、駅には大きめの待合室や屋根付き駐輪場(ただし自転車はなし)があります。
地図を見てみると船佐駅に先に南へ向けて県道が分岐しており、その先には集落があり、更に旧高宮町の役場(現在は安芸高田市役所の支所)に至り、その近くに船佐小学校、高宮中学校があります。
その昔は、そういった集落の玄関口の駅だったのでしょう。広めの駅構内や交換設備の跡に、その面影を感じます。なお現在でもここ船佐駅から、高宮支所を経由して旧吉田町まで、通学時間帯を中心にコミュニティバスが運行(土曜日減便、休日運休)されています。既に代替交通は確保されているとも思われ、複雑な心境です。
立派な待合室があります。
島式ホームの交換駅だった面影が残る船佐駅です。奥が長谷駅側です。
所木駅側に目を向けると、田植えの終わった水田がありました。夕方の斜光に照らされ、印象的な光景でした。
28駅目、いよいよ次で最後です。
34:長谷駅~三次市街到着
船佐駅から営業キロ2.2㎞、次の長谷駅は秘境駅として知られ、ランキングは第38位です。三江線の秘境駅はこの長谷駅が最高位です。これは三江線に人煙稀といった駅はなく、少ないながらも周辺に人家があり、小さいながらも耕地があることを物語っています。
三江線の三次~式敷間は1955年(昭和30年)の開業ですが、長谷駅は1969年(昭和44年)に仮乗降場として開設されました。ここからは三次市となります。
過疎化により近くの集落の児童が通っていた学校が廃校となり、通学の足を確保するためこの駅が設置されたことは、よく知られているところです。そのため停車する列車が、午前中の三次行、午後の三次発に偏っています。
長谷駅への県道です。対向車を発見したら、広い場所で待ちましょう。
山の斜面にある長谷駅です。道路に車が停まっており、駅見物(?)のご夫婦が先客でいらっしゃいました。本日の駅巡り中、駅で人と出会ったのは宇都井駅、図書館併設の川戸駅とここだけ。列車を待つ方の姿を見ることは皆無でした。
味わい深い待合室があります。
清掃が行き届いている待合室内です。
列車で訪問するのは困難を極める長谷駅。隣の粟屋駅、 船佐駅から歩くという手もあります。
ホームから江の川の絶景を楽しむことが出来る長谷駅です。駅の先に数軒の人家と耕地がありますが、現在、この駅を通学で利用する児童はいないそうです。
これでほぼ全駅(残る江津本町駅は明日訪問します)の訪問達成!
駅巡礼の長い一日でしたが、何とか明るい内に目標を達成できて満足です。長谷駅からも慎重にハンドルを握り、朝訪問した粟屋駅を通過して、無事、三次グランドホテルに到着しました。
「電車は人間を乗せるものだ。鉄道は、人間と人間を繋ぐものだ。だから鉄道を愛する者は、けっして人間を憎めない。」・・・宮部みゆき著「小暮写眞館」の登場人物の言葉です。後段はともかく、こうした文脈からはまさに駅も人と人を繋ぐものと言えましょう。
繰り返しになりますが、各駅とも周囲には少ないながらも人家があり、人の姿がありました。三江線の現状からは既にその役割を失っているとの見方もできますが、駅が無くなることで「人と人を繋ぐもの」も無くなってしまわないか心配です。
全通時から定期列車の優等列車が設定されたことがないことからも、陰陽連絡としての機能は当初から無かったことでしょう。小中学生の通学利用も、既にスクールバスやコミュニティバスが整備されています。残るは高校生と、車を運転しない方の利用です。
・江津~川戸間は石見交通バスが何故か昼間に2往復運行されています。まるで三江線ダイヤの穴を埋めているようです。国道経由ですが、朝晩増便し何とか石見川本まで頑張って延長していただきたいです。
・石見川本~口羽間は美郷町営バスの両端を延長、町域外となりますので、費用負担等の問題が出てきそうですが、円満解決していただきたいものです。
・口羽~三次間は三江線とは違う経路で、路線バスが運行されています。三江線の経路で採算ベースに乗せることは難しそうで、コミュニティバスでしょうか。式敷~粟屋間は2012年の社会実験によるバス増便では、三江線沿いの県道をバスが運行されたそうで、マイクロバスなら通行できるのでしょう。行政区域が細かく分かれており、調整が難しそうですが。
代替交通機関の行方が非常に気になるところです。 さて明日は、三次から江津まで三江線に乗りますが、また別記事で。 (下記より続きをご覧ください。残る江津本町駅への旅でもあります)
⇒次・三江線・三次~江津まで完全乗車
索引:三江線全駅訪問
三江線の、三次駅から江津駅まで駅を順番に並べてみます。数字は小見出しの番号になります。
③ 三次駅
② 尾関山駅
① (駅間で列車を撮影)
④ 粟屋駅
? 長谷駅
? 船佐駅
? 所木駅
? 信木駅
? 式敷駅
⑤ 香淀駅駅
? (駅間で列車を撮影)
⑧ (駅間で列車を撮影)
⑥ 作木口駅
⑦ 江平駅
? 口羽駅
⑨ 伊賀和志駅
⑩ 宇都井駅
⑪ 石見都賀駅
⑫ 石見松原駅
⑬ 潮駅
⑭ 沢谷駅
・浜原駅(昨年訪問済)
・粕淵駅(昨年訪問済)
⑮ 明塚駅
⑯ 石見簗瀬駅
⑰ 乙原駅
⑱ 竹駅
⑲ 木路原駅
・石見川本駅(翌日訪問)
? 因原駅
⑳ (駅間で列車を撮影)
? 鹿賀駅
? 石見川越駅
? 田津駅
? 川戸駅
? 川平駅
? 千金駅
・江津本町駅(翌日訪問)
・江津駅(翌日訪問)