軍艦島のツアーに参加して上陸して刊行した時の記録

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松浦鉄道乗車と軍艦島訪問記(その4)・・・軍艦島の上陸ツアーに参加

主に青春18きっぷを利用した「駅弁」と少し「呑み鉄」、そして時々「撮り鉄」の旅を名古屋からお届けします。今回は本サイト「鉄宿!」管理人であるP氏とともに旅した松浦鉄道と長崎軍艦島訪問の記録です。

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松浦鉄道の乗り鉄
大村線に乗車して長崎へ
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長崎本線の各駅停車に乗って博多・小倉へ
名門大洋フェリーの新門司港~大阪南港に乗船
京終駅で撮影してから帰宅





軍艦島へ出発


世界文化遺産の構成資産のひとつとして登録された「端島炭鉱」のある端島(はしま)、いわゆる「軍艦島」へはクルーズ船が運航されており、上陸することができます。

28年前の1990年(平成2年)8月29日、私は本サイト「鉄宿!」管理人P氏を含む学友3人で近くの高島(当時は長崎県西彼杵郡高島町、現在は長崎市)まで定期船で渡りました。

島の高台から約2.5㎞沖合にある「軍艦島」を眺め上陸を渇望したのですが、当時は接近して見物するにも船のチャーターが必要とのこと、貧乏大学生の身には負担が大きく断念したのでした。

そして前述のように2015年(平成27年)、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成遺産として登録され、現在ではクルーズ船により上陸することができます。

28年前は知る人ぞ知るといった印象だった「軍艦島」、2009年から上陸が許可されたとのことで長い眠りから少しだけ覚めたようでもあり、我々の先見の明を自画自賛せずにはいられません。…という戯言はともかく、「軍艦島」上陸は今回の旅のハイライトであり楽しみです。

28年前の高島の炭鉱住宅
こちらは28年前の高島の風景です。高島の炭鉱は1986年に閉山となり、当時は無人の炭鉱住宅が並んでいました。その後訪問していませんが、現在では炭鉱跡は公園等に整備され、炭鉱住宅も撤去されているようです。(1990.8.29)

高島の資料館のバッテリー機関車
高島には資料館があり、炭鉱で使用されたバッテリー機関車が保存されていました。(1990.8.29)

ホテルニュー長崎客室からの展望
ホテルニュー長崎客室からの展望です。今日は朝から雨模様です。(2018.9.1 6:50)


雨は激しさを増し、雷が鳴り響きます。軍艦島クルーズは雨天決行ですが、波が高いと上陸不可となるので心配です。本日朝の便は上陸できない可能性がある「条件付き出航」となり、無手数料で払い戻しができるとのことです。(2018.9.1 7:58)

長崎港ターミナルビル
長崎駅隣接のホテルニュー長崎から10分程歩いて長崎港ターミナルビルに到着です。変わりやすい天気で一瞬だけ雨が上がり晴れ間がのぞきます。別のホテルに泊まったP氏とはここで待ち合わせ、本日も引き続き2人旅です。(2018.9.1 8:09)


今回我々が利用したのは、島原~大牟田間の高速船も運航している、やまさ海運㈱の「軍艦島周遊上陸コース」です。軍艦島クルーズは複数の海運会社が運航しており各社特色があるようですが、昼頃長崎駅発の列車に乗る必要があることから9:00出航~11:30帰着の便があるやまさ海運㈱を選んだのでした。

料金は基本4200円でネット割(乗船日の13日前以降に予約の場合)で▲500円、長崎市の施設使用料+300円で結果4000円となりました。料金の支払いとともに「上陸誓約書」提出等の乗船手続きを、出航の15分前までに長崎港ターミナルビル内の窓口で行います。

やまさ海運の「マルベージャ3」
やまさ海運㈱の「マルベージャ3」(定員215名)に乗船し、長崎港から軍艦島を目指します。(2018.9.1 8:32)


午前9時の出港時には再び激しい雨となりました。非常に不安定な天気です。(2018.9.1 9:02)

やまさ海運の「マルベージャ3」の船内
2階デッキを選ぶお客さんもいて、1階客室には空席もありました。航行中は船員さんの肉声による案内放送があり、往路では主に右側車窓の風景を案内します。 (2018.9.1 9:17)

軍艦島上陸ツアーの船から見た伊王島大橋
伊王島大橋を後にします。奥が長崎港、左側が伊王島です。西彼杵郡伊王島町は2005年に長崎市に編入され、2011年には伊王島大橋が完成して本土と陸続きになりました。引き続き定期船も運航されている一方で、路線バスも乗り入れているそうです。(2018.9.1 9:23)





軍艦島上陸


「条件付出航」でしたが、案じることなく上陸することができるようです。

軍艦島見学者のプレート
乗船手続き時に配布され、後ほど回収されます。

軍艦島ドルフィン桟橋
長崎港から約40分で軍艦島ドルフィン桟橋に到着です。現在の桟橋は1962年完成、波の高さが0.5mを越えると接岸できません。昨年(2017年)9月実績で運航率は約85%、そのうち上陸できず周遊コースへの変更が5%程度だったそうです。(2018.9.1 9:44)

軍艦島の概要


南北に細長い軍艦島、上の案内板にもあるとおり、上陸して見学ができるのは南端の一部分です。中央北側や西側の居住区には高層建物が並んでいますが、接近が危険なことは容易に想像されます。端島自体は2001年に三菱マテリアルから高島町に無償譲渡され、現在は長崎市の所有となっています。

上陸直後の軍艦島
上陸後、まずは注意事項等の説明があり、2つのグループに分かれて3か所の広場でガイドの方から説明を受けます。なお雨天時でも傘の使用は禁止されています。 (2018.9.1 9:48)

軍艦島の第1見学広場から端島小中学校を望む
第1見学広場から端島小中学校(中央・RC造7階建)、左隣の65号棟を望みます。端島小中学校の体育館は閉山(1974年(昭和49年))で無人島となる4年前の1970年(昭和45年)に建設されており、エネルギー革命による閉山が急だったことがうかがえます。手前には貯炭場があり、右側の支柱は貯炭場から運搬船へ石炭を運ぶベルトコンベアーのものです。(2018.9.1 9:53)

第2見学広場へ至る道程
第2見学広場へ向かいます。見学用に安全な通路が整備されていますが、お手洗いや休憩用施設はないので要注意です。この周辺には採炭関連施設が集まっていましたが、閉山時に撤去されたものもあり多くが姿を留めていません。全体では約半数の建物が残っているそうです。(2018.9.1 9:56)

軍艦島の第3見学広場
終点の第3見学広場です。中央の30号棟アパートは1916年(大正5年)に建てられた日本最古の鉄筋コンクリート造の高層アパートです。(2018.9.1 10:08)

軍艦島の工場建物と30号棟アパート
左は工場建物、右が先ほどご紹介した30号棟アパートです。廃墟となった巨大建造物を目の当たりにすると、やはりその印象は強烈です。映画のロケに利用されるというのも頷けます。



軍艦島周遊


人数確認後10:20頃にドルフィン桟橋を出発、すぐに別会社のクルーズ船が桟橋に接岸しました。時間単位で桟橋の使用が区切られているようです。 島の西側を船上から見物し長崎港へ戻ります。

西側から眺める軍艦島
西側から眺めると確かに軍艦そっくりです。長崎で建造された戦艦「土佐」に似ているそうです。炭鉱は海面下1000mの地点にありました。(2018.9.1 10:31)

1998年に建造された肥前端島灯台
右側が30号棟アパート、中央が31号棟アパートです。中央丘の上には1998年に建造された肥前端島灯台があります。(2018.9.1 10:33)

西側から眺める軍艦島の居住区
西側から居住区を眺めます。丘の上のRC造4階の建物は幹部職員用の3号棟、右端には端島神社の祠があります。神社の拝殿は倒壊して残っていないそうです。コンクリート建造物の保存は技術的に難しいようで(素人目にもこれだけの規模の建物を保存するのは不可能とは思いますが…)、日々崩壊が進んでいます。ガイドの方も案内中に建物が崩れる音を耳にしたことがあるそうで、特に台風通過後は顕著とのことです。(2018.9.1 10:34)

軍艦島の釣り人
北端には4階建の端島病院建物が残っています。岸壁に2人の人影が…拡大してみたら釣人でした。送迎船があるのでしょうが、色んな意味でこの場所で釣りをする勇気は私にはありません。船はここで折り返し同じ航路で長崎港に戻ります。(2018.9.1 10:36)

海上から眺める伊王島の沖ノ島天主堂
伊王島を眺めながら長崎港に戻ります。中央の建物は1931年建立の沖ノ島天主堂です。この島の炭鉱も1972年に閉山となりましたが、最近はリゾート地として開発されています。ここにきて晴れ間が戻ってきました。(2018.9.1 11:02)

三菱重工業(現、三菱造船)の造船所
長崎港では三菱重工業(現、三菱造船)の造船所が左手に広がります。軍艦島周遊時も周りを1周するのではなく、西側から北端まで進みそのままUターンして折り返すので、右窓側でも左窓側でも往復した結果では見える風景は同じでした。(2018.9.1 11:08)


30年ほど前から気になっていたスポットである「軍艦島」に上陸することができて、また冥途の土産が増えました。

万人受けする「観光地」ではないものの、建造物は日々崩壊が進んでいるとのことで将来はコンクリート塊の島となっているかも知れず、日本の産業発展を支えた遺産としての姿を見るには是非とも今のうちの訪問をおススメしたいです。





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