湖北のおはなし(米原駅)を食べた記録

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湖北のおはなし・・・鴨のローストが主役の、米原駅の絶品駅弁

東海道本線と北陸本線の分岐駅である、米原駅。かつて会社員時代、滋賀県に出張の際は、いつもここで駅弁を買い、東海道本線の車中で食べていました。

米原駅には一通り駅弁がそろっているにもかかわらず、ほぼ常に変わらずに食べていたのが、この湖北のおはなしです。駅弁を一通り食べている私が、毎回唸るようにして食べたのは、昔も今も湖北のおはなしだけです。

米原駅の駅名板


会社を辞めてから久しく食べておりませんでしたが、妻と養老鉄道の薬膳列車に乗車した後に米原駅ほど近くの東横イン米原駅新幹線西口に一泊するのに合わせて、妻にもこの湖北のおはなしを食べさせてあげようと、わざわざ予約して取り置いてもらいました。

湖北のおはなしの外観と風呂敷


不織布で出来た風呂敷風の外観が、強く目を惹きます。私がこの駅弁に出会った当時、もう15年も前だったと思いますが、このような趣向を凝らした駅弁は、ほとんどありませんでした。

この風呂敷を解くと、下の写真のような弁当箱本体が姿を現します。琵琶湖のヨシで作られているのでしょうか?お弁当箱の蓋にとても風情が有って、素晴らしいです。

湖北のおはなしの駅弁容器


なお今回は、妻から3分の1程度を分けてもらって食べています。私は同じく予約して購入した季節限定駅弁、琵琶湖の鮎・氷魚ごはんと一夜干しを頂いております。





湖北のおはなしがなぜこんなに美味いのか、私なりにレビューしてみる


まずは上述した駅弁容器の蓋の部分の雰囲気なども分かるので、動画でご覧いただければと思います。その上で、写真やお品書きをご覧ください。



湖北のおはなしの中身


お品書きは、弁当容器の上で紐で結ばれて固定されていました。無味乾燥にメニューだけ書くのではなく、「おこんだて」として文章で表現してくれています。それを書き写すと、次の通りです。(読みやすいように、平仮名を漢字に直したりその逆をしたりしています。)


賤ヶ岳のすそ野を流れる小川の水がぬるむころ、ふとそのそばの琵琶湖は、あくまですきとおって、いやがうえにも青い。その琵琶湖の名産は、いし貝、川えび、小鮎、いさざと静かに移ろいゆく。

なんとしても、このお弁当は鴨が主役です。粒こしょうで「ロースト」しました。この主役を引き立たせる大切な脇役を吟味いたしました。

かしわをすき焼き風にして胡麻をまぶし、永源寺の修行僧の食べ物には欠かせないと言うこんにゃくは、ゆっくり時間をかけて甘辛く田舎風に炊き込み、これに玉子焼き、葱とお揚げの「ぬた」、毎年十五夜にお供にする小芋丸煮、おつけもんは梅干しに山牛蒡、赤かぶらを秋から冬にかけて、竹竿にかけて干すのは、滋賀の里の風物詩です。

そして白おこわ、桜の葉を下に敷き、ごはんとさくらの「葉っぱ」一体になって・・・もちろん葉もお召し上がりください。このほかは、具は春、夏、秋、冬、音もなく移ろいゆく四季をとらえて山菜、枝豆、栗、黒豆と、アクセントをつけて、お伺いしたいそんな気持ちで日夜励んでおります。

お口直しには飴をどうぞ。またまたご縁がありますように!



この駅弁は、風呂敷で包まれた外観やお弁当箱の見た目のすばらしさだけでなく、実は蓋を開けた時の見事さも、感心するポイントです。どうです、このおかずの配置の仕方は? 全く空間に無駄がありません。仕切りは一切なくて、わずかにぬたを固定するプラスチック容器が1つ、有るのみです。

駅弁の多くが、プラスチック容器を多用したり、おかずとおかずの間にも仕切りを多用しているのに対して、湖北のおはなしは写真で見て分かる通り、「料理人の腕前」でおかずを自然な形に配膳しています。実に見事で、これぞ本来の姿だと唸るばかりです。

湖北のおはなしのおかず


「おこんだて」によると、主役は鴨のローストだという事で、確かにこれは絶品の味わいです。しかしそれ以外も非常に美味く、おこわに合うように最適な味付けに調整された玉子焼きや、肉厚の梅干し、豆と川海老の煮物、ぬた、丸こんにゃく、里芋、全てが最高のレベルです。

そしてそれが、全く喧嘩する事なく調和しているのは、実に見事だとしか表現できません。昔ながらの田舎のおばあちゃんの味わいと評される事が多い湖北のお話しですが、これはそんなレベルではなくて、確実に料理屋、あるいは料亭の味です。

下記、細かいところを見ていきます。まずはぬたですね。湖北のおはなしで最も私が唸った「料理」です。駅弁では、ネギで人を唸らせることは大変難しいと思います。しかしネギをぬたにする事で、湖北のおはなしはやってくれましたね。

湖北のおはなしの「ぬた」


そして主役の、鴨のローストです。一切れ一切れ食べるのがもったいないほどの味です。黒コショウが効いた味は、他の駅弁の鴨肉の追随を全く許さないと言ってよいでしょう。

湖北のおはなしのメインディッシュ、鴨のロースト


そんな湖北のおはなしを、トレインビューしながら食べる事ができるのは、最高ですね。今回写真に撮り忘れてしまったのですが、「おこんだて」にも記載されているように、おこわの下には桜の葉っぱが敷いてあります。

その桜の葉っぱの独特の香りがおこわに移っているので、おこわ自体の風味も、他のおこわの駅弁を一歩も二歩も引き離しています。そして春夏秋冬で旬のおこわを用意してくれるのですから、人を飽きさせません。

というか、こんな美味い駅弁に飽きるも何もありません。私にとっては、一生付き合ってゆきたい駅弁の筆頭です。

トレインビューホテルで食べる、湖北のおはなし


妻も、食べながら「この駅弁は他とはかなり違うわ」と驚いていました。妻の感想としては、「ご飯がなんだか美味しすぎる、玉子焼きが他の駅弁とは明らかに違う、そして全てにおいて手作り感を非常に感じる」との事でした。ウンウン、聞いていて私も嬉しくなりました。

ちなみに妻は、今まで食べた中でベストスリーにランクインだと言っていました。彼女的には第1位は宮島口駅のあなごめしで、次に越後湯沢駅のくるみ山菜寿司、そして湖北のおはなしになるそうです。湖北のおはなしのせいで3位から4位に降格したのは、嘉例川駅の百年の旅物語かれい川になります。

そうだ、書き忘れる所でした。サイコロの形をしているのは、飴玉です。サイコロの箱の中に、飴玉が入っていて、食後のデザートとして楽しめます。素朴な飴玉を舌の上で転がしていると、得も言われぬ満足感がこみ上げてきます。


(2016年8月27日、米原駅で購入。1150円。)


ところで、米原駅の「石田三成」推しが凄い!


ところで湖北のおはなしの販売駅である米原駅、ちょうど2016年のNHK大河ドラマ・真田丸で、堀北真希の旦那の山本耕史が熱演する、石田三成が「ブーム」です。今までの石田三成の描き方と違って、一途な男として描かれていて、それに萌える人が続出しているようです。

石田三成の地元の米原駅では、改札口を出ると次のようなデカすぎるポスター?が沢山貼ってあって、おもわずたじろぎます・笑。東京(江戸)からやってきた人間は、関ケ原の戦いで言うと徳川家康に味方する「東軍」ですから、石田三成の地元では完全にアウェー感がMAXです。








米原駅周辺のは、石田三成の生誕地も含めて、歴史的な見どころが多すぎます。機を見て歴史旅をしようとは思いますが、そんな時こそ、旅情たっぷりの駅弁に舌鼓を打ちたいところです。湖北のおはなしは、それにふさわしい駅弁だと思います。


この駅弁を製造している業者さん情報


http://www.izutsuya.cc/htm01/eki01.htm

この駅弁屋さん、井筒屋さんは、日本でも3本の指に入るくらい、全体としてのクオリティが猛烈に高いです。近くを通ると、必ず何か買い求めていますね。今回は予約した2つの駅弁と共に、思わず追加でステーキ弁当まで買ってしまいました。



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