気仙沼線のBRT区間を走破

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震災後、初めて訪れる三陸の旅(その8)・・・気仙沼線のBRTバスの旅

主に青春18きっぷを利用した「駅弁」と少し「呑み鉄」、そして時々「撮り鉄」の旅を名古屋からお届けします。

忘れもしない東日本大震災、この2018年3月で7周年を迎えます。その被災地である三陸地方は幾度となく旅した地ですが、震災以来、初めて訪れましたのでその模様を報告します。



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⇒気仙沼線のBRTバスの旅(←今ここ
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気仙沼駅と快速「南三陸号」の記録


気仙沼では13分の連絡で、駅周辺を徘徊することはできませんでしたが、この辺りは津波による大きな被害は受けていないようです。駅構内は気仙沼線のBRT(バス高速輸送システム)化のため、大きく変化しています。

気仙沼駅
駅舎の前に上屋が設置される等、改装された気仙沼駅です。有人駅で駅舎内ではコンビニも営業しています。

気仙沼駅(1989年)
赤い屋根が印象的な気仙沼駅でした。(1989.3.6)

気仙沼駅に停車中の快速「南三陸4号」
気仙沼駅に停車中の快速「南三陸4号」仙台行です。後にキハ110系に置き換えられましたが、指定席の連結は継続されていました。(1999.11.7)

快速「南三陸」のサボ
快速「南三陸号」は気仙沼から気仙沼線、石巻線、東北本線経由で仙台を結んでいました。 (1999.11.7)


快速「南三陸号」の気仙沼と仙台の所要時間は2時間前後でした。現在の仙台行高速バスの所要時間2時間半~3時間と比較すると、利便性が高かったことがわかります。

そしてBRTとなった気仙沼線の前谷地までの所要時間は2時間半で、次の比較のとおり対仙台への交通機関としては残念ながら勝負にならないことがわかります。


【仙台への交通機関比較】(快速「南三陸2号」以外は現行ダイヤ)  

交通機関 発車時刻 到着時刻 備考
場所 時刻 場所 時刻
震災前の快速
「南三陸2号」
気仙沼 8:18 仙台 10:17 -
高速バス 気仙沼案内所 7:50 仙台駅前 10:46 -
BRT 気仙沼 7:30 仙台 11:24 柳津、前谷地、小牛田乗り換え
大船渡線 気仙沼 6:51 仙台 8:55 一ノ関から新幹線



【震災直前の気仙沼駅気仙沼線列車発車時刻表】(2011年3月時刻表より)

5:13 女川行
6:51 小牛田行
8:18 快速「南三陸2号」仙台行
9:50 本吉行
11:27 小牛田行
13:02 小牛田行
14:33 小牛田行
15:50 快速「南三陸4号」仙台行
17:38 小牛田行
19:23 小牛田行


※気仙沼から小牛田まで普通列車でも2時間強、前谷地までは2時間弱で運行していました。現在のBRTは気仙沼から本吉までは日中1時間に2本、本吉から前谷地までは同じく1時間に1本程度の運行です。


気仙沼駅のホーム
駅舎から一番離れたホームから大船渡線の列車が発着します。

気仙沼駅のBRTの発車ホーム
駅舎側の2面のホームがバスの乗降場となり、線路と跨線橋が撤去されました。停車中の前谷地行バスに乗車します。


 


気仙沼から柳津へバスの旅


気仙沼~前谷地間の気仙沼線は、最後の開通区間である柳津~本吉間の開業が1977年(昭和52年)ということから、ローカル線としては近代的な設備と良好な線形を有し、前述のように最速の快速列車は仙台まで1時間59分で運行していました。

2011年3月の東日本大震災で、南気仙沼~志津川間の多くの区間で壊滅的な被害を受け、暫定的にバスで復旧し、2012年12月からはJR東日本によるBRT(運行はミヤコーバスに委託。)として正式に復旧しました。

気仙沼~前谷地間の営業キロは72.8km、そのうち柳津~前谷地間は列車も並行して運行されています。今回はバスの最前部に座り、「前面展望」により車窓風景を観察しましたので、以下区間別に簡単にご紹介します。


気仙沼~不動の沢~南気仙沼

気仙沼14:55発前谷地行BRTに乗車。乗客は我々の他に1名のみでした。不動の沢駅付近まで線路敷を利用した専用道、そこからは県道を走行しますが交通量が多く、車の流れが悪いのは難点です。

しかし、ロードサイド店が多く、県道上にある南気仙沼バス停は旧駅より位置的に便利そうです。ここで3名の方が乗車されます。

気仙沼~不動の沢間のBRT専用道
気仙沼~不動の沢間のBRT専用道です。バスが一時停止すると、専用道の遮断機が上がります。ここは交通信号に従って発進しますが、他の多くの交差点は遮断機のみの設置です。 (2018.2.18 14:59)


松岩~最知~陸前階上

最知駅付近から再び専用道を走行、旧駅設備が残る陸前階上駅の先から一般道(国道45号線)に戻ります。

BRTのバス同士のすれ違い
所々に設置されている待避所で、対向バスとすれ違いをします。(2018.2.18 15:15)

BRTの陸前階上駅
駅舎と跨線橋が残る陸前階上駅です。被害の大きさを見るにつけ、鉄道としての復旧が多大は費用を要すことは想像に難くないものの、「鉄」としては複雑な心境になる光景です。 (2018.2.18 15:19)


大谷海岸~小金沢~本吉

引き続き国道45号線を走行、小金沢で1名下車。小金沢の先から本吉駅まで専用道を走行、トンネルがあり列車の旅の雰囲気を味わうことが出来ました。

比較的開業の遅かった気仙沼線には長いトンネルがあり、峠越えで勾配やカーブの多い道路に対して、こうしたトンネルを活用することはBRTにとって非常に有効に思われます。

その一方で、かつて多くの廃線後の鉄道敷を利用したバス専用道が、一般道の整備に伴い、維持管理の面から廃止されているので、その点は気懸りです。本吉では時刻表上3分間の停車時間がありますが、遅延のためかすぐに発車。ここでは1名乗車、1名下車です。

小金沢~本吉間のBRTのトンネル
小金沢~本吉間のトンネルです。(2018.2.18 15:35)

駅舎、跨線橋、ホームが残る本吉駅
駅舎、跨線橋、ホームが残る本吉駅です。海岸から離れているため、津波による被害はなさそうです。(2018.2.18 15:38)


陸前小泉~蔵内~陸前港~歌津

本吉からは再び一般道となります。陸前小泉付近では一部流失しているものの、立派な鉄道高架橋が残されていました。

本吉~陸前港付近の区間は2019年(平成31年)度にBRT専用道が供用開始とのことですが、この高架橋が活用されるのでしょうか。陸前港の先で専用道に入り、歌津駅に至り1名下車されます。

ホームが残る歌津駅跡
ホームが残る歌津駅跡の手前で坂道を下り、駅前広場にBRTの歌津駅があります。津波により駅舎は流失しましたが、辛うじてホームは残りました。 (2018.2.18 15:57)


清水浜~ベイサイドアリーナ~志津川

歌津から清水浜付近も2019年(平成31年)度にBRT専用道の供用開始が予定されているとのこと、この区間も線路は長いトンネルなので、所要時間短縮が期待できそうです。しかし今は、カーブと坂道の多い国道45号線を走行します。

ベイサイドアリーナは鉄道とは関係なく新設されたバス停です。高台にある造成地で、住宅街とともに南三陸町役場、南三陸病院、図書館等の公共施設も集結しています。

南三陸町総合体育館「ベイサイドアリーナ」の一角にバス停がありましたが、2017年9月に南三陸病院の玄関口に移設されました。そのため、バス停名も今年7月頃に「南三陸町役場・病院前」に変更されるそうです。

志津川は旧志津川駅とは全く別の場所に、BRTの駅舎(現在のものは仮駅舎だそうです。)とお手洗いがあります。南三陸町の中心地であったこの周辺は津波で壊滅的な被害を受けた場所で、現在は土地のかさ上げ工事が行われており、「南三陸さんさん商店街」はすぐ近くにあります。

ところで、到着は気仙沼を出発して約1時間20分後の16:19でした。降車予定の柳津まであと30分弱ですが、安全側を優先し、恥を忍んで運転手さんに「トイレタイム」を申し出ます。

「少し急いでください。」とのことで、急いでお手洗いに駆け込みました。 今日はなるべく水分の摂取を控えていたのですが、誠に申し訳ないことです。

しかし、JR東日本発行のパンフレット「BRTお出かけテクニック&沿線ガイド」には「トイレタイム、ございます。運転手にお申し出くだされば、最寄りのトイレ設置駅で停車します。」と明記されており、恥を忍ぶ必要はなかったワケですが、他のお客さんの手前、やはり躊躇してしまいます。

気仙沼から前谷地となれば、約2時間半の乗車となります。高速バスのように、途中駅での休憩時間は必要と感じましたが、休憩時間が設定されていないのは、長距離利用者が少ないことを物語っているようにも思えます。

志津川には、南三陸町役場と、役場に隣接して防災対策庁舎がありました。地震による約16mの津波で役場は全壊、防災対策庁舎も屋上まで水没し、屋上に避難した10名の方が助かった一方で、43名の方が命を落とされました。

志津川を発車したバス車内から、造成地の盛土の間にその防災対策庁舎の遺構が少しだけ見えましたが、保存するか否かについては議論が紛糾し、結論を先送りする形で、2031年まで県が建物を保有し管理することになったそうです。


陸前戸倉~陸前横山~柳津

津波により駅や周辺施設が跡かたなく流失したという陸前戸倉駅付近からは、内陸部に向かいます。この辺りから吹雪となりました。並行する線路敷は舗装工事が終わり、各駅の待合室も整備され、今年夏頃からはバスはBRT専用道に移行するとのことです。

柳津には私の「トイレタイム」の影響か、2分遅れの16:49に到着。我々を含め乗客4名全員が降車、バスは空車のまま前谷地へ向けて出発して行きました。

気仙沼から柳津のBRTは「いすゞキュービック」
気仙沼から柳津まで乗車したBRTは、懐かしい「いすゞキュービック」でした。BRTは中古車両を集めてスタートしましたが、その生き残り(?)でしょうか。 (2018.2.18 16:49)



柳津から古川へ列車の旅


柳津からは久々に列車へ乗車することができます。吹雪となりましたが、有人の観光案内所は暖房が効いていて、助かりました。P氏はお手洗いに駆けこんでいます。齢を重ねると、お手洗いが近くなるのは困ったもので、お互いの年齢を実感した瞬間でもありました。

震災による被害の少なかった気仙沼線柳津~前谷地間は、震災の翌月2011年4月29日に運転を再開し、現在は9往復の列車が運行されています。また並行してBRTが気仙沼方面と直通で運行されています。

柳津駅
鉄道の駅は安心感があります。柳津駅は本吉郡津山町の玄関口でしたが、2005年(平成17年)に登米郡8町と合併し登米市となっています。ちなみに登米市は「とめ」で、宮城の明治村として知られ、柳津駅から数キロ北にある旧登米郡の登米町は「とよま」と読みます。バス乗車中に見た道路標識は2通りのローマ字表記があり、まさかの誤字かと思い調べると、旧郡名と旧町名で読み方が違うのでした。

柳津駅のキハ110系
到着した列車には、お客さんの姿はありませんでした。(2018.2.18 17:18)





17:28発の前谷地行列車は、BRTから乗り換えた4名を含め計6名を乗せて柳津駅を発車。線形が良いため、列車は快調に飛ばします。前谷地までの営業距離17.5㎞を、列車は4つの駅に停車して所要約20分、BRTはノンストップで所要時間35分です。

国内鉄道全線完乗を目論んでいるP氏。この区間は初乗りということで、車窓に目を凝らします。沿線は旧北上川沿いの広く豊かな田園地帯のようですが、吹雪ということもあり途中から車窓は闇となってしまいました。P氏、無念・・・。

さて列車は、旧登米郡豊里町の中心地である陸前豊里駅で1名の乗車があり、計7名の乗客で前谷地駅に到着しました。

ほぼ全員が、3分の待ち合わせで到着した石巻方面女川行に乗り換え。気仙沼方面から石巻へ向かうにはBRT~石巻線が公共交通機関としては合理的・・・というか唯一の手段です。 石巻経由で仙台に向かうP氏とも、ここ前谷地でお別れです。

今回の旅もP氏のお陰で、誠に充実したものとなりました。豪華「船盛」付の「こたつ列車」乗車や超豪華お大尽寿司をいただくなど、ひとり旅では到底考えられないような、貴重な体験をさせてもらいました。この場を借りて、御礼申し上げます。


前谷地駅では、女川行(左)が17:52に発車、隣の柳津行は18:00の発車で、接続は良好です。(2018.2.18 17:51)


前谷地駅の窓口営業は午後5時で終了。暖房もない無人の駅で列車を待つこと1時間、身も心も芯から冷え切りました。駅から200mほど歩くとコンビニがあるようですが、駅前には塾以外に営業しているお店はありませんでした。


18:07発の気仙沼行BRTは、1人だけお客さんを乗せ走り去りました。私が乗車した18:51発石巻線小牛田行は2両で、乗客は10名程度。日曜日の夜とはいえ、閑散とした駅や列車内の様子に地方における公共交通機関の衰退を感じずにはいられませんでした。小牛田で陸羽東線に乗り換えて、本日の宿泊地である古川には19:36に到着しました。



【乗車記録】

・気仙沼14:55→柳津16:47 (気仙沼線BRT)  
・柳津17:28→前谷地17:49 キハ110-125 1両  
・前谷地18:51→小牛田19:10 キハ112-217 2両  
・小牛田19:24→古川19:36 キハ112-213 2両



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