保存車両である「夢空間」で、アタゴールの野趣に溢れたフレンチ

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保存車両である「夢空間」を見事に活かしたフレンチレストラン、アタゴール

わたくし、寝台特急が本当に好きで、「寝台特急に乗ろう」のページに書いてある列車以外に、何度も寝台列車には乗車しています。

しかし臨時北斗星が廃止になって、ついにブルートレインの歴史に終止符が打たれましたし、2016年3月の北海道新幹線開業を機に、夜行急行はまなす寝台列車カシオペアまで廃止が決定して、乗るべき列車がいよいよほとんど無くなるという最悪の事態に直面しています。

そんな中、かつて活躍した車両を大切に保存する動きもわずかながら見られ、最近では711系の赤電車を保存したレストラン「大地のテラス」のような事例もあります。

ですが車両を保存したうえで、その車両の内部まで存分に活用している事例は本当に少なく、その貴重な1つが、東京の木場にある本格フレンチレストラン「a ta gueule(アタゴール)」でしょう

東京・木場のフレンチレストラン「アタゴール」


当ページでは、管理人が自ら足を運んで、かつての豪華寝台車両「夢空間」をどのように活用しているのか、この目で確かめてみました。本当に素晴らしいので、皆さんもぜひ行ってみてください。下記、ご興味ある部分からご覧になっていただければと思います。

フレンチレストラン「アタゴール(a ta gueule)」の外観など
アタゴールのランチを存分に堪能、本当にフランス風の料理だったよ
夢空間車両に座席を移してのティータイムが、またいい雰囲気なんだな
この日頂いた、ランチタイムのメニューはコチラ
平日1組は、夢空間の個室でディナーを頂ける!(土日は要相談)
そのほか、アタゴール店内で撮影した写真など


レストラン「アタゴール」の公式サイトはコチラ





フレンチレストラン「アタゴール(a ta gueule)」の外観など


東京、木場地区の大きな通りに面していきなり現れるのが、夢空間車両です。写真で見ると「おー!鉄道が置いてある!」と驚くでしょうが、非常に不思議な事に、街中に溶け込んでいて、実に違和感が無いんですよね。オーナーが、立地をしっかりと考え抜いたんじゃないかと思いますね。

東京・木場のフレンチレストラン「アタゴール」の外観


夢空間車両がどのような状態で保存してあるのか、アタゴールの外観から入り口までを動画で撮影しています。これを見れば雰囲気がすぐに分かると思いますから、ご覧ください。




なお、保存された車両のナンバーは、「オロネ25-901」です。「ロ」の部分がグリーン車両(1等車両)だという事を誇らしげに語っていますよね。このレストランに、ピッタリです。

夢空間オロネ25-901とテラス席
(ペット連れの方などは、この「テラス席」で食事を頂けます。床下機器に萌える人にもおすすめ)


道路とは反対側、お店の入り口に足を運ぶと、車両の方向幕の「a ta gueule」が目立ちます。オリエントエクスプレスと表示されていますね。

それもそのはず、このフレンチレストランのオーナーシェフは、日本人で唯一、ヨーロッパのオリエント急行でシェフを務めた人物なのです。その仕事の誇りが、この方向幕に現れています。

夢空間に掲げられたアタゴールの方向幕


上記の写真の位置に立って、視線を左に向けると、下記のような感じです。実はわたしが立っている場所は駅のプラットホームをイメージしており、下記の写真が駅舎のイメージなのです。駅に集い、美味しい料理を楽しむというコンセプトなんですね。

アタゴールの「プラットホーム」から見た「駅」の景色



 


アタゴールのランチを存分に堪能、本当にフランス風の料理だったよ


後段にメニューも掲載していますので、そちらを見て頂いても分かりますが、手書きのメニューでかなり見にくいですから・苦笑、下記の写真の部分でもメニューを記載します。食べさせて頂いた感想も、忌憚のない意見として掲載していますから、アタゴールに興味のある方は参考になさって下さい。


●前菜(あ、私と妻で別々のメニューを頼んでいますから、2種類掲載しています)

タスマニアサーモンと噴火湾のホタテ貝とフレンチキャビア・秋のオリエント急行」です。見た目も鮮やか、口に運んでニンマリ。それ以上の感想を書くことができません。

東京・木場のフレンチレストラン「アタゴール」のランチコースの前菜とテーブルの雰囲気

東京・木場のフレンチレストラン「アタゴール」のランチコースの前菜(魚介)


こちらは「ポルチーニ茸と旬のきのこ達のアルザス風ニョッキ クリームソース」です。感想を伝えるも何も、ポルチーニ茸なんていう高級食材を食べた事が無いし、この複雑な味わいを日本風に表現することなど、わたしには不可能です。

東京・木場のフレンチレストラン「アタゴール」のランチコースの前菜(キノコ料理)


●口直し

氷菓のお口直し」です。超濃厚な、柚子のジェラートです。口直しのレベルをはるかに超越していて、これだけで完ぺきな料理です。日本人よりも、外国人の方が喜びそうな味わいのジェラートですね。

東京・木場のフレンチレストラン「アタゴール」のランチコースの口直しのジェラート


●メイン料理(魚料理と肉料理)

お待ちかね、メインが運ばれてきました。このメイン料理、非常に写真撮影が難しいのです。ですので、まず最初に以下の動画をご覧いただいたほうが良く分かります。(ついでに、アタゴールの店内の様子も分かりますので、レストランを利用したい人は見ておいてください)




魚料理から参りましょう。「海・川・天候 気分次第の魚料理」というネーミングです。この日(今月?)は、メイン食材はフグです。フグがフレンチで出てくるとは予想外でした。スープはフグの骨や皮などで出汁を取ったものです。

個人的には、フグよりも添えられた野菜の数々です。名前が分からないのですが、今まで食べたことのない野菜も入っています。そしてその野菜本来の味わいがストレートに出ています。

最近の日本人が食べる野菜って、全て「あく」が抜けて、甘い味わいのものばかりが出回っていますよね。でも今回アタゴールで食べた野菜は、「青臭さ」が存分に残っているんですよ。ですから食後も1時間くらいは、口の中に「エグみ」が残っていて、「ああ、これが本来の野菜の味だよな」と、懐かしい気分になりました。

東京・木場のフレンチレストラン「アタゴール」のランチコースの魚料理


妻が食べたのは、「北海道短角牛ランイチ 2種マスタード添え アタゴールスタイル」です。ランイチとはどういう意味か分からないので、帰宅後に検索して調べてみたら、お尻の付け根あたりの部分のようです。短角牛と言うのは、北海道産の2種類の牛を交配させて生まれた牛の種類の事のようです。

食べた感想は、肉の味わいが非常に濃厚だという事です。いかにも肉を食っている、という風合いで、盛り付けも含めて、野趣満点ですね。ただし、肉は相当に硬いです。3枚のステーキを全て食べたら、相当に顎が疲れると思います・笑。お年を召した方や、入れ歯の方は、まず噛み切れないと思いますね。

こういった硬い肉を堂々と提供するところなど、個人的にはかなり好きです。普段、柔らかい肉こそ最高なんだと思いこまされているのではないか、と思ってしまいました。

東京・木場のフレンチレストラン「アタゴール」のランチコースの肉料理


メイン料理の両方に共通して言えることとして、その盛り付けが非常にユニークだという事です。例えば、そこらのレストランでステーキを食べた場合、誰でも見た瞬間に手前に肉がデーンと有って、向こう側に野菜が添えられていて、と言うようなステレオタイプな盛り付けをイメージすると思います。

しかしアタゴールは違います。プレートの一点に集中するのではなくて、お皿全体を使って、まるで抽象画を描くかのように盛り付けられているのが、大変印象的です。魚料理も同じですから、動画で再度その様子を確認してみてください。個人的にはかなり、想像力をかき立てられました。


●デザート(Cコースに付いてきます)

アタゴールの独特の盛り付けは、デザート「オリエント急行スタイル 巨峰のジュレ 」を見ても分かります。下記の動画をご覧ください。アイスクリームを皿の縁に配置するなんて、普通の考えの人には出来ない技だと思います。




このデザート、口直しのジェラートと同様、絶対に日本人よりも外人のほうがウケると思います。ワインの味覚と巨峰の甘みが絶妙にマッチしていて、妻と二人で目をまん丸くしながら食べました。

フレンチレストラン「アタゴール」のデザート



夢空間車両に座席を移してのティータイムが、またいい雰囲気なんだな


さて、デザートが済むと、食後のドリンクです。今回はコーヒーにしました。実はアタゴールでは、食後は「夢空間」車両に席を移動して、寝台車内部で飲み物を楽しむことができます。当然、鉄道大好きのワタクシは、夢空間に直ちに移動です。

夢空間の個室内でドリンクを頂く


夢空間車両の個室にてコーヒー(&お菓子)を頂いたときに、個室がどんな雰囲気なのか動画に撮っておきましたので、ご覧ください。昔はここにベッドが有って、夜行列車の旅を心ゆくまで楽しめたんだろうなあと思うと、ちょっとキュンとなりますね。

たしか夢空間トマムスキー号にて、あの宮脇俊三先生も、ご夫婦でこのいずれかの車両に宿泊されたはずなので、どの個室なのかなあと思いを巡らせながら、コーヒーをいただきました。



この日頂いた、ランチタイムのメニューはコチラ


本日頂いたランチコースは、下記の赤枠になります。BコースとCコースをいただきました。Dコースはメイン料理を2品両方頂けるだけの違いですので、今度は平日のAコースを食べたいですね。

あとは、ディナーコースです。次の項で記載したように、夢空間車両の個室にて、1組限定でディナーを楽しめるとの事ですから、絶対にそれを狙いたいと思います。

フレンチレストラン「アタゴール」の2015年9月のランチコース


フレンチレストラン「アタゴール」の2015年9月のランチメニュー


平日1組は、夢空間の個室でディナーを頂ける!(土日は要相談)


下記が、ディナーを楽しむことのできる個室です。この時はお昼時で、ディナー用のテーブルの用意がなされていない状態ですが、雰囲気は伝わると思います。




下記の写真が、ディナー用にセッティングされた写真です(アタゴールのHPより拝借しています)。こんな車両が実際に上野と札幌の間を走っていたのですから、・・・乗りたかったなあ!!!

アタゴールの個室内でディナーがとれる



寝台特急北斗星に関連する参考記事へのリンク


こちらは、夢空間とは違いますが、「夢空間北斗星号」つながりとしてご覧ください。過去に北斗星がらみで乗ったり食べたりした時の体験談になります。

 ⇒臨時北斗星の乗車記・ソロ上段(2015年)
 ⇒北斗星B寝台個室「ソロ」上段の乗車体験談(2013年)
 ⇒北斗星「ロイヤル」彼女とデート乗車体験談(2013年)
 ⇒北斗星「ソロ」下段(2013年)
 ⇒寝台特急北斗星・B寝台個室「デュエット」(2012年)
 ⇒北斗星A寝台2人用個室「ツインデラックス」子連れ体験談(2012年)

 ⇒ありがとう寝台特急北斗星記念弁当(販売終了・札幌駅)
 ⇒寝台特急北斗星記念弁当(販売終了・上野駅)
 ⇒ありがとう寝台特急北斗星記念弁当(販売終了・上野駅、東京駅)
 ⇒北斗星ワンカップ日本酒と国技館やきとり(上野駅)



そのほか、アタゴール店内で撮影した写真など


食事以外で、アタゴールにて撮影した写真の数々です。下記の写真が「北斗星夢空間」号です。矢印の部分が、木場のアタゴールに保存され有効活用されている車両です。(参考までに、緑色の食堂車と赤いラウンジカーは、ららぽーと新三郷店に保存されています。)

夢空間北斗星号のうち、アタゴールで保存されている車両


アタゴールの車両のコンパートメントの通路側です。ジーッと見ていると、普通に走っているような感じに思えてきます。

夢空間の寝台車両の通路


個室のカードキーを挿入する部分です。北斗星でおなじみだったので、懐かしい気分になりました。いや、もう二度と接しられないので、悲しい気持ちにもなりました。

夢空間車両の個室のカードキー挿入部分


その他、A寝台車の雰囲気。

夢空間車両のA寝台の表示


なお、トイレは客室内では使用できず、(動画で見ると分かる通り、鍵がかかっていて入れない)、お店の奥の方のトイレを使用します。店の実力を見るにはトイレを見ろ、という格言?の通り、きれいに清掃されたトイレです。

木場のフレンチレストラン「アタゴール」のトイレ


下記は、夢空間車両の車輪部分です。出来れはレールの上に置いて欲しかったですけど、それは贅沢な悩みと言うものでしょうか。ここに存在するだけで、大変な意義があるのですから。

東京・木場に保存された夢空間車両の車輪部分


あ、これはトイレ前に飾ってあった写真です。夢空間車両をアタゴールに運送する時の模様ですね。オーナーシェフは運び込まれた車両を見て、武者震いしたのではないでしょうか?

夢空間の寝台車両の輸送シーン


1点だけ、アタゴールの改善点を挙げておきましょう。それは、ホームページ(というかブログ)の料理の写真が、いまだかつて見た事が無いくらい下手くそな点です。

私もアタゴールで食事するにあたり、その写真を見た瞬間、食べに行くかどうか真剣に悩んだほどの酷さです。料理のセンスが無いんじゃないか?と思ってしまうくらいの、小学生並みの酷さです・笑。どなたが撮影しているのか知りませんが、そこだけは絶対に直したほうが良いでしょうね。

という事で、フレンチレストラン「アタゴール」の実体験レポートでした。このような形で、夢空間が100%活用された状態で保存されているのを見るに、今後も折を見て食事をさせて頂いて、アタゴールと夢空間を応援していきたいと思います

ほとんど日本の「鉄道遺産」クラスの行動を、1人のオーナーシェフがリスクを全て背負って成し遂げられたことに、敬意を表します。これからも素晴らしく美味しい料理を、末永く提供し続けて頂ければと心から願います。

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