小田原駅の鯛めし弁当を食べた記録

●参考になりましたら、シェアしていただけるとサイト運営の励みになります!

鯛めし(小田原駅)・・・甘めの味付けの鯛おぼろが特徴的な、超ロングセラー駅弁

湘南も、小田原より先に行く機会は、首都圏に住んでいてもなかなかありません。あるとしても、新幹線で目的地まですっ飛んでいきますから、よほど小田原駅に用事がなければそこで降りる事は無い訳で、従って、ふだん買う機会が多いようで多くない、そんな駅弁の1つが鯛めしです。

昨今は東京都内で駅弁を常時販売する施設が増え、小田原の鯛めしを気軽に食べる事が出来るようになったのは嬉しい変化ですね。

小田原駅の鯛めしの外観


そしてその鯛めしは、何と明治40年に販売開始という事で、明治時代から大正、昭和、平成、そして令和年間にまで受け継がれる、超ロングセラー駅弁になります。

このページでは、通常版の鯛めしのほか、最近販売された特別バージョンの2つの鯛めしも追記して、以下の項目に分けてご紹介します。どうぞご覧下さい。

通常版の「鯛めし」・・・これが、100年以上受け継がれてきた駅弁
復刻版御鯛飯・・・「駅弁味の陣2017」出品の駅弁
東華軒130周年記念 金目DE鯛めし・・・こちらは「駅弁味の陣2018」に出品





通常版の「鯛めし」・・・これが、100年以上受け継がれてきた駅弁


まず、通常版の、ロングセラーの鯛めしから参りましょう。実は、鯛めしを食べるのは、今回で2回目です。一度目はいつだったのか、すっかり忘れました。10年以上前だったと思います。ギッシリ敷き詰められた鯛の味が、印象的でした。

いずれもう一度食べてみたいと常々思っていたので、東京駅の駅弁屋で見つけた時は、嬉しかったですね。他にも色々と買いたい駅弁がある中で、敦賀駅の笹すしと共に買って参りました。あの時の、こぼれ落ちるほどの鯛そぼろの量は今でも健在なのか、楽しみにして開封してみました。




はい、ギッシリ敷き詰められた鯛のボリュームは、完璧でしたね。以前、食べた時にはスプーンなど付いていなかったと思うのですが、今回はスプーン付きです。これは嬉しい配慮です。

この細かいおぼろを食べるのに、いくら日本人でも、箸よりもスプーンの方が圧倒的に便利です。しかも、プラスチックではなくて木の匙なのですから、気分が出るというものです。

小田原駅の鯛めしの中身


肝心の味の方は、どうなのでしょうか? 今回食べた感想としては、「思ったよりも甘いぞ」でした。こんなに甘い味付けにしたら、大人は嫌がるんじゃないかなと思いながら食べるうちに気がつきました。

「そうだ、わさび漬けが入っていたんだった!」 ワサビの風味が、ツーンと鼻に来てくしゃみが出そうになるタイミングで鯛めしを口の中にかっ込みます。すると、何とも言えない、甘さと辛さが混然一体となった、深みのある味わいが体を突き抜けます。

う~~ん、なるほど~~~。鯛めし、恐るべし、という感じですね。アサリの佃煮も付いていますので、これまた鯛めしに絶妙に合います。口直しに、柚子大根も素晴らしい。あ、竹輪も入ってますね。

明治40年から売られているという、スーパーロングセラー駅弁。もはや存在そのものが、国宝級の文化財と言っても良いでしょう。一度は食べたい、小田原の鯛めしです。

(2015年11月7日、東京駅で購入。830円)・・・良心的な値段


なお、鯛めしには「ミニ駅弁」バージョンもあります。2019年4月に西武百貨店池袋店のザガーデン自由が丘池袋店で見かけた写真を掲載しておきます。





復刻版御鯛飯・・・「駅弁味の陣2017」出品の駅弁


上記の通常版の鯛めしを食べてから3年以上が経過して、久しぶりに手に取った商品が、こちらの2つです。それぞれ上野駅の駅ナカのお店の駅弁売り場で見つけて、両方買ってきました。

向かって左側がこの項で紹介する復刻版御鯛飯で、右側は次の項で紹介する東華軒130周年記念金目DE鯛めしです。復刻版御鯛飯とは、掛け紙が当時のものと同じか、または類似しているという意味なのでしょうか。レトロな雰囲気もあり、マニア心をくすぐる気になる存在ですね。

「復刻版御鯛飯」と「東華軒130周年記念金目DE鯛めし」


両方開けてみたのが、下の写真です。復刻版御鯛飯はシンプルに、東華軒130周年記念金目DE鯛めしは豪華に作られているのが分かります。価格も、相当な開きがあります。

「復刻版御鯛飯」と「東華軒130周年記念金目DE鯛めし」


今回、私は個人的には、鯛めし部分ではなくて、副菜の部分に目が行ってしまいました。東華軒名物の、鶏そぼろがたっぷりと添えてあります。これは大変「ウマ甘」といった風の味覚であり、こんな甘いものが鯛めしの甘さに加わる事になるので、ちょっと強烈だなと思いました。

他に、煮卵や蒲鉾、煮物などが添えられています。意外と、駅弁に煮卵も珍しいですね。




鯛のおぼろは、通常版とは味わいに変化は無いように感じました。鶏そぼろとダブルで効いてくる甘さを回避するために、ここにもわさび漬けが入れられていました。これが無いと、ぜんぶ食べるのは正直言って、いくら美味しくてもキツさを感じるくらいだと思います。

それと、通常版には入っていない、梅干しの存在も大きいです。小田原は梅干しが名物でもありますし、この酸っぱさはお弁当全体の甘さを吹き飛ばしてくれます。

復刻版御鯛飯


鯛めしを食べながら復刻版の掛け紙を見ていたら、当時の鉄道事情を思い浮かべました。「どうも変わった地図だな」と思ったら、東海道本線はまだ熱海までしか開通していないのですね。それに対して右方向に御殿場線が描かれており、当時の鉄道は御殿場線周りの時代だった訳です。

復刻版御鯛飯の掛け紙


その後、丹那トンネルの開通によって御殿場線は複線から単線のローカル線に転落していきました。昭和9年の事です。復刻版御鯛飯から始まる小田原の鯛めしは、その栄枯盛衰を陰から見守ってきた訳であり、まさに歴史の立会人のような駅弁と言って良いでしょう。

なお、復刻版御鯛飯の「復刻」については、やはり中身ではなくて掛け紙を当時のものと同じに印刷したという事のようです。掛け紙に小さく、「弁当中身については復刻ではございません」と記されていました。

購入データ
購入場所 上野駅・アトレ上野のザガーデンにて購入。
購入日時 2019年2月16日、午後4時前に購入。
価格 880円(税込み)
ラベル表示 復刻版御鯛飯のラベル表示

原材料表記をじっと見つめていて気が付いたことは、鯛のおぼろと呼んでいるものが、実はサワラやカジキマグロ、カレイなどであるという点です。

マダイの表記もありますが、砂糖よりも後に書かれているという事は、使用料は砂糖よりも少ないという事になり、鯛のおぼろと言ってはならないほど少量であると推定できます。

もちろん、東華軒さんは鯛のおぼろとは書いておらず、たんに「おぼろ」としか記していませんから、何も問題ありません。

でも、流石に「鯛めし」という商品名はどうなのかなと思いましたね・笑。味わい深いおぼろではあるものの、特に「鯛を食べたぞ」という感じではないのでありますし。



東華軒130周年記念 金目DE鯛めし・・・こちらは「駅弁味の陣2018」に出品


最後に、東華軒130周年記念金目DE鯛めしです。復刻版御鯛飯が、JR東日本の駅弁コンテストでもある「駅弁味の陣2017」に出品されたのに対して、こちらは「駅弁味の陣2018」のために作られています。復刻版の地味な感じから一転して、金目鯛を使った効果で豪華な駅弁になっています。




東華軒130周年記念の文字が踊り、金目鯛が躍動した感じの掛け紙は、勢いがあって好きです。今風なのに、昔風にも見えるデザインは、なかなか秀逸だと思います。

東華軒130周年記念金目DE鯛めしの掛け紙


そして、いつもの鯛めし、あるいは復刻版の鯛めしと違って、徹底的に金目鯛を使いまくっている点が凄いですし、食べてみると味が全く違うのに驚きます。私は同時に2つ並べて食べたので、どれほど異なるのかがすぐに分かりました。

東華軒130周年記念金目DE鯛めしの、金目鯛の西京焼き


動画でも、その違いをご覧下さい。おぼろも美味しいですけれども、この駅弁の金目鯛の西京焼きは、まさしく最強です・笑。西京焼きを駅弁にしたものはいくつかある中で、やはり金目鯛ですから、西京焼きのレベルがまるで違うのが分かります。

そして、それを口にしつつ金目鯛のおぼろを食べた時の絶品さは、今まで食べた中で最も美味しい鯛めし駅弁だなと心底感じました。




通常版の鯛めしと異なり、おぼろもきちんと金目鯛です。原材料表記でも、はっきりと金目鯛と記されており、他の魚は使われていないようです。通常版の鯛めしより、濃厚さを感じますね。




そして、おぼろだけでなく、金目鯛の有馬煮なるものも添えられており、合計3種の金目鯛の味を楽しめるという訳です。醤油やお酒で味付けして煮詰められた有馬煮は、おぼろよりも明確にインパクトのある味覚で、東華軒らしく甘みが強いのも特徴です。醤油の味わいが強いので、甘い中にもおぼろとは異なる味となって、コントラストが効いて素晴らしいですね。

東華軒130周年記念金目DE鯛めし


更に、副菜も小田原らしさを感じます。名物のじゃこ店が添えられており、竹輪や蒲鉾などのおかずと共に、これはビールを飲みたくなってしまいますね。・・・実際に、ビールを飲みながら食べた訳でありますが(^^♪




1200円と高価な駅弁なれど、「本物」である事がよく分かる、東華軒130周年記念金目DE鯛めしに軍配が上がると思いました。そして今度、三度、通常版の鯛めしを食べてみたいなと思っているところです。今度はどう感じるのか、食べて確かめてみたいですね。

購入データ
価格 1200円(税込み)
ラベル表示

東華軒130周年記念金目DE鯛めしのラベル表示


参考神奈川県における鉄道の見えるホテルの一覧



乗って楽しい列車旅

鉄道クレジットカード・鉄道ファン御用達のカード

地域から選ぶ

その他の特集コンテンツ