宗谷本線の絶景と秘境駅を眺めながらの各駅停車の旅

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道央道北・乗り鉄の旅(その14):宗谷本線の車窓・絶景と秘境駅を眺めながら(その2)

主に青春18きっぷを利用した「駅弁」と少し「呑み鉄」、そして時々「撮り鉄」の旅を名古屋からお届けします。

昨年(2016年)11月、JR北海道から「当社単独で維持することが困難な路線」として、13線区が発表されました。半ば予想された展開とは言え、こうなると乗りたくなる浅はかな私。2017年3月、宗谷本線などへの「乗り鉄」の旅に出掛けました。



鹿ノ谷駅の時刻表が物語る夕張支線
夕張市内を歩く
石勝線・夕張支線の乗車記録
札沼線・豊ヶ岡駅を再度訪問してきた
新十津川駅で写真を撮る
滝川駅で写真を撮る
留萌本線・末端区間廃止後の初の乗車
沿岸バスの旅・留萌~羽幌まで
沿岸バスの旅・羽幌~豊富まで
宗谷本線・豊富駅~南稚内まで
バスでノシャップ岬・雄大な利尻富士
稚内駅周辺を徘徊
宗谷本線の車窓・絶景と秘境駅を眺めながら(その1)
⇒宗谷本線の車窓・絶景と秘境駅を眺めながら(その2)(←今ここ
深名線と名寄本線・廃線前の思い出
宗谷本線の名寄から帰宅へ



(稚内を10時半に出発、はるばる名寄駅を目指します。)





宗谷本線普通列車の旅、音威子府へ


駅名の響き、旧天北線の分岐駅、真っ黒な麺で知られる駅そば等、音威子府駅も是非とも下車したいところですが、今日は無情にも3分停車で定刻13:13に発車。やはり乗降は2~3名でした。

さて、ここ音威子府は「北海道で一番小さな村」とのこと。有人駅でみどりの窓口があるうえに、かつては天北線が分岐していた拠点駅なので、勝手にそれなりの町かと考えていました。沿線の人口は次の通り(各市町村のホームページから最新の数値を調べました。)です。

・稚内市  35051人  
・豊富町   4010人  
・幌延町   2422人  
・中川町   1624人  
・音威子府村  732人  
・美深町   4531人  
・名寄市  27944人  



という結果で、私の中での知名度に反して、実は本当に小さな村でした。しかも音威子府高校が2002年(平成14年)改称されてできた、「北海道おといねっぷ美術工芸高等学校」は定数120名の多くが寮生活とのことで、生徒さんの732人の人口に占める割合は少なくありません。(住民票を移してなく、カウントされていない可能性もあります。)  

それと、他の市町村を含めて、沿線人口の少なさは鉄道維持の観点から非常に厳しい環境です。いずれの市町村も減少傾向にあり、天北線廃止2年前の1987年(昭和62年)の音威子府村の人口は2068人でした。

浜頓別駅で撮影した天北線のキハ22(1987年)
浜頓別駅で撮影した天北線のキハ22。1989年に廃止となった天北線は南稚内から鬼士別、浜頓別、中頓別を経由して音威子府を結んでいた路線です。名寄本線、池北線(第3セクター化、後に廃止)、標津線とともに長大路線で冬期の代替えに輸送に問題があるとされ、処遇が決まりませんでしたが、結局廃止されてしまいました。(1987.8.24)

浜頓別で撮影した急行「天北」(1987年)
浜頓別で撮影した急行「天北」です。キハ56系から快適性向上のため14系客車化され、天北線内はDE10あるいはDE15が牽引するという異色の列車でした。稚内~音威子府間の輸送量は宗谷本線より天北線の方が多かったそうで、線名による杓子定規で理不尽な廃線でした。 (1987.8.24)

音威子府駅
音威子府駅を列車後部から撮影。駅舎は天北線廃止後にバス待合所も兼ねた交通センターに改築されました。駅舎内には有名は駅そば店「常盤軒」(9:30 - 16:00、水曜日定休)があります。私もその昔、食し、麺をお土産に買った記憶があります。19900年の時刻表には駅弁販売駅マークもついています。


なお、浜頓別方面の天北線代替バスは、転換後(時刻表1990年12月号による)には8本発車していましたが、現在は4本に半減。特に音威子府~浜頓別間は、今後の存続が問題となっているようです。これに比較すると、昨日乗車した留萌~幌延間の沿岸バスは、大健闘といえます。また天北線代替バス、現在は一部区間、旧天北線のルートから外れ、宗谷岬を経由するようになりました。





名寄に向けて、まだまだ続く秘境駅


咲来駅
音威子府の次が咲来駅。駅周辺には農家が点在しています。

天塩川温泉駅
秘境駅ランク53位の天塩川温泉駅。駅から約800mの場所に「音威子府村住民保養センター天塩川温泉」(トレインビューではありませんが・・・)があります。宗谷本線乗車の折に利用すると、便利なうえに思い出深い旅となりましょう。また音威子府駅から天塩川温泉までは村営バス(地域バスと称し、何と無料)が5~7本運行されていて列車と組み合わせれば、効率よく移動できそうです。 なお、写真左側、待合室横の人は列車利用者ではありません。 (2017.3.19 13:25)

音威子府村住民保養センター天塩川温泉(1990年)
私は1990年2月22日に、「音威子府村住民保養センター天塩川温泉」に大学の仲間数人と泊まりました。その時撮影した写真です。1989年の開業、現在も盛業中で、ホームページによると、1名でも7700円~9700円で宿泊できるようです。

天塩川温泉駅に到着する名寄行(1990年)
1990年2月23日に撮影した天塩川温泉駅に到着する名寄行。 音威子府~名寄間は当時6.5往復の普通列車が運行されていました。(天塩川温泉駅通過列車を含む。)現在は4.5往復の運行です。駅待合室の外観は当時と変わっていません。

豊清水駅
秘境駅ランク22位と交換駅ながら高順位の豊清水駅。国道40号線に近いものの、駅周辺は無人地帯とのことです。

恩根内駅
洒落た駅舎のある恩根内駅。駅周辺は郵便局もあるちょっとした集落です。

紋穂内駅
秘境駅ランク31位の紋穂内駅。痛みの目立つ貨車駅です。周辺は農地と少し離れたところに農家があります。また車窓右側の風景は相変わらず天塩川ですが、だんだんと平地が広がるようになってきました。

初野駅
秘境駅ランク74位の初野駅。雪に覆われていますが、周辺は大規模な農地が広がっており、農家も点在しています。

美深
立派な駅舎のある美深駅を発車。市街地を形成する美深町の玄関口で、特急停車駅ながら、昨年限りでみどりの窓口は廃止され、簡易委託駅となっています。 日本一の赤字路線として知られ、1985年に廃止されて美幸線の分岐駅です。終点であった仁宇布付近の廃線跡は、最近では「トロッコ王国美深」として知られています。なお代替えバスは、現在ではワゴン車によるデマンド(予約制)運行となり、5往復が設定されています。

南美深駅
広々とした農地の中にある秘境駅ランク48位の南美深駅。右奥の建物が待合室です。(2017.3.19 13:58)

智北
秘境駅ランク75位の智北駅です。駅待合室は比較的新しそうです。駅は木々に囲まれていますが、周囲はやはり大規模な農地で、農家も点在しています。

智恵文駅
リフォーム型貨車駅の智恵文駅です。駅周辺は集落となっています。なお、智北~智恵文間では天塩川の名残の三日月湖である、智恵文沼を車窓から望むことが出来ます。

北星駅
秘境駅ランク23位の北星駅。見事な板切れホームです。ここで2名の方が下車されました。約1時間後に下り列車があります。 写真右側の少し離れた場所ある木造の建物の小屋は、駅の待合所です。 (2017.3.19 14:09)

日進駅
こちらも見事な板切れホームの日進駅。やはり画面の外、ホームの右側に待合所があります。名寄盆地の北端に位置し、名寄の市街地からそれほど遠くないようです。なお、2006年まで隣の北星駅との間に智東駅がありました。 (2017.3.19 14:18)


次はいよいよ終点の名寄駅です。列車の旅において、ビールと駅弁の後は寝てしまうことの多い私ですが、今回は車窓風景の素晴らしさにその暇すらありませんでした。

また、車内から駅の写真を撮ることは普段しないのですが、今回は見事な秘境駅が続き、途中から撮らずにはいられなくなりました

キハ54は当初からワンマン運転を考慮したのか、前部が開放的で、展望が利くのはいい点です。ただし今回、先頭部は千客万来につき、後部からの撮影です。結果として後部の方が運転の邪魔にならなくて、良いのではないでしょうか。

さてこの列車、我々を含めてお客さんの多くが、移動手段ではなく乗ることを目的としているようです。連休とあって、我々と同年代か、あるいはもっと年配の方が目立ちました。

私がナウなヤングの頃の北海道の列車は、観光のために移動手段として利用する若者で賑わっていたように思います。特に夏休み中の道内各方面への夜行列車は混雑していました。そんな経験のある皆さんが、再び列車の旅を楽しんでいるように感じました。

その一方で、地元の方の利用が極端に少ないことは、衝撃的でした。秘境駅が続くということは沿線に人がいないことを意味し、予想以上に輸送量が減少しているようです。

通りすがりの旅人の勝手な感想で申し訳ないのですが、遠くない将来、鉄路があるのかどうか非常に流動的です。後悔しないよう、今のうちに存分に乗っておこうと、心に誓った次第です。



稚内駅と南稚内駅周辺のトレインビューホテル&旅館の一覧


稚内サンホテル 宗谷本線 稚内駅徒歩2分、最北端のトレインビューホテル。
ホテル宗谷(南稚内駅) 宗谷本線 南稚内駅目の前30秒。
稚内グランドホテル(南稚内駅) 宗谷本線 南稚内駅から徒歩3分程度。
旅館いわ木(南稚内駅) 宗谷本線 南稚内駅から徒歩3分程度。
稚内さかえホテル(南稚内駅) 宗谷本線 南稚内駅から徒歩5分程度。


⇒次:深名線と名寄本線・廃線前の思い出


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